静岡商・高田琢登(撮影・西尾典文)

ドラフト1位もあるぞ!静岡商「高田琢登」は高校球界“屈指”のサウスポーだ

 新型コロナウイルスの感染拡大により、高校野球の春季大会がすべて中止されるなど、アマチュア球界にも大きな影響が出ている。このため、各球団のスカウトがドラフト候補を視察できない異常事態に陥ってしまった。こうした状況を踏まえて、プロアマ野球研究所(PABB lab)は、過去の試合から有望選手をピックアップして、その実力を分析している。今回は、ドラフト1位指名の可能性が噂される、静岡商のサウスポーを取り上げたい。

【2019年8月25日】高校野球秋季静岡県中部地区大会

藤枝明誠1-4静岡商

 夏の甲子園が終わると高校野球は新チームとなるが、2020年の候補の中で早く見なければと思っていたのが、この日に登場した静岡商のエース、高田琢登(3年・投手)だ。入学時から大器と評判で、2年春の静岡大会では1試合16奪三振もマークしている。この日は県大会前の地区大会だが、相手も強豪の藤枝明誠ということもあり、球場に足を運んでみると、狙い通り先発マウンドに立ってくれた。

 右足を高く上げるフォームで、ステップする前に上体が前傾してネット裏から見て体が少し「くの字」になるのは少し気になったが、下半身でしっかりリードすることができており、全体的なバランスも決して悪くない。グラブを持つ右手の使い方も良く、しっかりと抱え込み、右肩の開きも早くない。それでいながら鋭く腕を振れるというのも長所だ。

 高校生の本格派サウスポーの場合、コントロールに難があることが多いが、高田はしっかりコーナーに投げ分けるだけの制球力を備えている。特にクロスファイヤだけでなく、右打者のアウトコース(=左打者のインコース)にも腕を振って投げられるのは大きい。立ち上がりは、特に制球重視でスピードは130キロ台後半だったが、ヒットを打たれても単打で、連打を許さずにしっかりと試合を作って見せた。唯一失点した8回には、ギアを上げてこの日最速となる144キロをマークするなど、ペース配分の上手さも光った。

 変化球はカーブ、スライダー、チェンジアップと一通り揃うが、一番投げることの多いスライダーは120キロ前後でありもう少しスピードが欲しいところ。逆にコントロールに不安があるのかあまり投げなかったカーブとチェンジアップの方がどちらもブレーキがあり、ボールの質としては面白かった。このあたりが改善されてくると、さらに攻略が難しい投手になりそうだ。

西尾典文 主任研究員

西尾典文
  • 1979年、愛知県生まれ。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などをテーマに野球専門誌に寄稿を開始。修了後もアマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる

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