岩本久重(早稲田大)

大阪桐蔭出身、早大の正捕手「岩本久重」は強打が魅力! 課題残るも、攻守ともに高いレベル

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、あらゆるスポーツイベントが中止、延期に追い込まれている。アマチュア野球もそれは例外ではなく、今年の選抜甲子園は中止となってしまった。キャンプを自粛するチームが出てきているが、シーズン開幕に向けてオープン戦は始まっている。各地で行われた試合から、目に付いた選手をレポートしたい。

【3月1日】

早稲田大2-12駒沢大

 前回までは目についた駒沢大の野手について紹介したが、今回からは早稲田大の野手に移りたい。大敗した中で最も存在感を示したのは捕手の岩本久重(3年・大阪桐蔭)だ。大阪桐蔭時代は2年秋から正捕手となったものの、翌年の選抜では左手首の故障で出場できず、その年の夏も本職ではない外野手としての出場が大半だった。岩本が故障の間に捕手を務めて選抜優勝に貢献したのが、ライバルである慶応大の福井章吾(3年・大阪桐蔭)である。

 早稲田大進学後もなかなか出場機会に恵まれなかったが、昨年秋のリーグ戦では途中から正捕手の座をつかみ、7試合に出場して打率.348をマーク。早慶戦でも一発を放つ活躍を見せて、リーグ戦後には大学日本代表候補にも選出された。そして新チームとなったこの試合では打つ方も4番に抜擢されている。

 この試合でも最初の2打席は内野ゴロに終わったが、第3打席、第4打席では連続してライト前ヒットとチームで唯一となるマルチヒットをマーク。2本とも外寄りのボールを逆らわずに弾き返したものだった。早めに始動して少し左足を上げるフォームだが、踏み出すまでにしっかり“間”を作ることができており、ボールを長く見られるのが長所。バットの動きは大きくなく、振り出しもスムーズだ。守備面でもイニング間での送球で最速1.86秒をマークし、8回には見事な送球で盗塁も阻止して見せた。

 しかし、スローイングに関しては、良い時と悪い時の差が大きいというのが課題だ。この日も計測できた7回のうち2.00秒を切ったのは2回だけ。少し力を抜いて投げているというのもあるが、ボールの持ち替えやコントロールについては改善の余地があるだろう。

 もうひとつ気になったのがリード面。この日は3回に4点、7回に5点と二度のビッグイニングを作られている。3回はホームラン2本が少し不用意に見え、7回は死球を挟んで5連打を浴びる中でリズムを上手く変えることができなかった。もちろん、打たれた投手の問題もあるが、もう少し捕手から試合を動かせるようにしたいところだ。

 こうした課題は見えるとはいえ、攻守に能力の高さは際立っており、世代を代表する捕手になれる可能性は十分に秘めている。福井との大阪桐蔭出身捕手対決も今後の東京六大学の名物となりそうだ。

この日の成績

4打席4打数2安打

セカンドゴロ・サードゴロ・ライト前ヒット・ライト前ヒット

(文・PABB主任研究員・西尾典文)

西尾典文 主任研究員

西尾典文
  • 1979年、愛知県生まれ。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などをテーマに野球専門誌に寄稿を開始。修了後もアマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる

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