ソフトバンク・柳田悠岐(Gaffky /Wikimedia Commonsより)

球界を席捲するソフトバンク、広島、西武の「大成功ドラフト」とは…

 2つ目に選んだのは2013年の広島だ。この年即戦力ではナンバーワンという評価だった大瀬良を3球団競合のすえに引き当てたのが何よりも大きかった。それまでの広島の指名は目玉を避けることが多かったが、この後は競合を恐れずに1位入札することが増え、過去3年間は最初に指名した選手を全員獲得している(中村奨成、小園海斗は抽選、森下暢仁は単独)。また2位指名の九里も貴重な先発右腕へと成長。そして3位の田中は今年苦しんだものの、タイトルホルダーとなっている。無名の高校生を鍛え上げるだけでなく、大学生、社会人の有力選手を獲得することの大事さを示したという意味でも大きかった指名と言えるだろう。

 最後に取り上げるのが2013年の西武だ。大瀬良、松井裕樹という投手の有望株をスルーして森を単独指名で獲得。これは2000年代の西武の指名でも触れたが、長く正捕手になれる選手は1位の枠を惜しまずに指名するという伝統になっており、それが見事にはまった形と言える。森は今年首位打者、MVPを獲得し、球界を代表する捕手になった。2位の山川も前回の原稿で触れたが中村剛也の成功があったからこそこの順位で指名できた選手である。山賊打線の中心選手二人を獲得できた大成功のドラフトだったと言えるだろう。

 今回取り上げた3球団は2010年代にいずれもリーグ優勝を果たしており、ドラフトの大成功がもたらす効果の大きさが改めて感じられるだろう。

(文・PABB主任研究員・西尾典文)

西尾典文 主任研究員

西尾典文
  • 1979年、愛知県生まれ。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などをテーマに野球専門誌に寄稿を開始。修了後もアマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる

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