「奥川恭伸」とローテ入りも…本格派右腕「吉田大喜」がヤクルト投手陣を支える!

 PABB labでは10月17日に行われたドラフト会議前にも多くの候補選手を取り上げたが、当日までにおさまりきらなかった指名選手について改めてどんな選手なのか、プロに入ってから活躍するためのポイントはどこになるか、いつ頃一軍の戦力として考えられるかなどについて紹介したい。今回は即戦力の期待がかかる“本格派右腕”だ。

吉田大喜(大冠→日本体育大→ヤクルト2位)

投手 175cm 77kg 右投右打

・リーグ戦通算成績

34試合 5勝5敗 120回1/3 被安打79 115奪三振 31四死球 防御率1.57

・報道されている最速:151キロ

・西尾が現場で見た最速:151キロ

・1年目の目安:一軍の先発で5~8勝

・期待される将来像:長くローテーションを守れる先発投手

ドラフト2位の最初、つまり13番目に指名を受けたのがこの吉田だ。大学生の投手では、森下暢仁明治大→広島1位)に次ぐ高い評価である。高校時代は大阪府立の大冠高校に所属しており、府内では評判の投手だったが、全国的にはそこまで騒がれていたわけではない。大学通算成績の5勝5敗という数字を見ても「未完の大器タイプ」を想像するかもしれないが、実際はその逆であり、非常に完成度の高い右腕である。

大学で成績が伸びなかったのには明確な理由がある。2年秋に右肘を故障したことがその一つ。そして1学年上に松本航(西武)、東妻勇輔(ロッテ)というドラフト上位指名された投手が二人おり、同学年にも北山比呂、1学年下にも森博人という好投手がチームにいたため、吉田に無理をさせずに戦うことができていたのだ。日本体育大の所属する首都大学リーグは投球数に関するガイドラインを2018年から導入し、一人のエースに頼ることなく戦うことを推奨している。そのことで各チームの投手のレベルが上がったことも、吉田の勝ち星が伸びなかったことに繋がっていると言えるだろう。

リーグ戦の勝ち星は少なくても、先述したように吉田の実力は本物である。軸足一本で真っ直ぐに立ち、しっかりタメを作ってから実にゆったりとステップすることができており、下半身の強さと粘りが最大の長所である。無駄な動きや急な動きがなく、それでいながら体重移動にスピードがあるので、コントロールがぶれることが少ない。145キロ前後のストレートをしっかりコーナーに集め、110キロ程度のカーブで緩急をつけられるのも大きい。スライダー、フォークの制球も安定している。課題を挙げるとすれば、何か「これ!」という必殺のボールがないことだが、全てのボールが一定以上のレベルにあるため、試合を作る能力も高い。

リリーフとしての経験も豊富だが、タイプとしては先発向きに見える。チームの期待はもちろん即戦力。一年目から過剰な期待は禁物だが、今のヤクルトでは十分に一軍のローテーションに入るだけの力はあるだろう。1位の奥川恭伸とともに、二年目からはローテーションの中心として回るくらいの活躍を期待したい。

(文・PABB主任研究員・西尾典文)

西尾典文 主任研究員

西尾典文
  • 1979年、愛知県生まれ。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などをテーマに野球専門誌に寄稿を開始。修了後もアマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる

Twitter ID: @ajihiraita