中日にドラフト2位で指名された橋本侑樹(撮影・西尾典文)

レジェンド「岩瀬仁紀」の背番号を継承 中日ドラ2位「橋本侑樹」の急成長

 PABB labでは10月17日に行われたドラフト会議前にも多くの候補選手を取り上げたが、当日までにおさまりきらなかった指名選手について改めてどんな選手なのか、プロに入ってから活躍するためのポイントはどこになるか、いつ頃一軍の戦力として考えられるかなどについて紹介したい。今回は最終学年で急成長を遂げたサウスポーだ。

橋本侑樹(大垣日大→大阪商業大→中日2位)

投手 182cm 71kg 左投左打

  • リーグ戦通算成績 41試合 12勝5敗 163回2/3 被安打116 163奪三振 79四死球 防御率2.58
  • 報道されている最速:152キロ
  • 西尾が現場で見た最速:148キロ
  • 1年目の目安:一軍で30試合登板10ホールド
  • 期待される将来像:左のセットアッパー

 大垣日大時代は1年夏に甲子園のマウンドも経験しているが、その後は故障もあって2年時はベンチ外。3年時もドラフト候補と呼ばれるような投手ではなかった。大阪商業大進学後は1年春からリーグ戦で登板しているものの、チームのエースは同学年の大西広樹(ヤクルト4位)だった。ちなみに大西のリーグ戦での通算成績は27勝2敗とほぼ無敵を誇っている。

 そんな橋本が一躍脚光を浴びたのは今年春の大学選手権だ。2回戦の九州産業大戦に先発して被安打3、1失点(自責点0)で完投勝利をマークすると、続く準々決勝の東海大戦では大西の後にマウンドに上がり2回1/3をノーヒット、3奪三振と完璧なピッチングを見せたのだ。この大会で完全に橋本はドラフト候補として認知されることになった。

 しかしドラフト会議前、個人的には橋本の指名はない可能性が高いと考えていた。その理由は内定を出している社会人チームからのいわゆる『順位縛り』があり、3位以下の順位ではプロ入りしないという情報を聞いていたからだ。結果は、中日がその縛りをクリアする2位で指名することになったが、正直、ドラフト会議が終わった時点では一つか二つ順位が高いなという印象は否めなかった。

 そんな印象が覆ったのがドラフト会議後の明治神宮大会だ。初戦の東海大札幌戦、ストレートの走らない大西に代わって2回途中からマウンドに上がると、6回までノーヒットと圧巻の投球を見せたのだ。7回に不運なヒットから1点は失ったものの、ストレートはコンスタントに145キロ前後をマークし(この日の最速は148キロ)、2位指名という評価に相応しい内容だった。

 少し体重は後ろに残るものの、右肩の開きをしっかり我慢して上から腕が振れており、ボールの角度が素晴らしい。ストレートも勢いがあるが、それ以上に魅力があるのが変化球。スライダーだけでなくチェンジアップも130キロ台のスピードがあり、途中までストレートと見分けがつかずどちらのボールでも空振りをとることができる。最近よく言われる『ピッチトンネル』(打者が球種の違いを認識しづらくなるように、異なる球種を途中まで同じような軌道で投げるという考え方)を上手く使えているように見える。

 本人は先発の意向があるようだが、現時点ではリリーフタイプに見える。長いイニングを投げるとどうしても抜けるボールが増え、自らピンチを招くシーンも少なくない。逆に短いイニングであればストレートの勢いは明らかに増しており、三振を奪えるというのも魅力だ。チームはちょうどセットアッパーのロドリゲスが退団し、左の中継ぎが不足している。12月16日の入団発表会見では、407セーブを記録した岩瀬仁紀氏が付けていた背番号「13」を引き継ぐことになった。それだけ、球団の期待も大きいという証拠だ。高校時代に故障歴がありまだ体も細いため焦りは禁物だが、夏場くらいからリリーフ陣の一角に入ってくるくらいのイメージを期待したい。

(文・PABB主任研究員・西尾典文)

西尾典文 主任研究員

西尾典文
  • 1979年、愛知県生まれ。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などをテーマに野球専門誌に寄稿を開始。修了後もアマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる

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