日体大・矢沢宏太(撮影・西尾典文)

大学球界に“二刀流”の超新星 日体大「矢沢宏太」は大谷2世? 

 来年6月に行われるハーレムベースボールウィーク(オランダ)に出場する侍ジャパン、大学代表候補の選考合宿が11月30日から3日間にわたって行われた。この合宿で目に付いた選手について紹介するレポート。今日は大学球界に新たに登場した二刀流の逸材だ。

矢沢宏太(日本体育大・1年・173cm・63kg・左投左打・藤嶺藤沢)

紅白戦打撃成績:4打席4打数2安打0三振

紅白戦投手成績:2回 被安打1 失点0 奪三振1 四死球1 最速143キロ

 今回の合宿で1年生ながらただ一人、外野手と投手の二刀流でプレーして大きなインパクトを残したのがこの矢沢だ。初日と2日目の第1試合は外野手として出場し、いずれもライト前に鋭く弾き返して2試合連続安打をマーク。凡打はセカンドゴロとファーストゴロだったが、それもしっかりと振り切った内容の良いものだった。プロフィールを見ても分かるように体つきは代表候補選手の中でもかなり小さい部類に入る。初日に行われた50メートル走のタイム(手動計測)は、五十幡亮汰(中央大・3年・外野手・171cm・70kg・右投左打・佐野日大)、並木秀尊(獨協大・3年・外野手・170cm・70kg。右投右打・市立川口)に次ぐ全体で3位となる5.53秒をマークしている。それだけの脚力がありながらも、軽く合わせて内野安打を狙うのではなく、強く振り切れるのが素晴らしく、全身を使ったフルスイングは迫力十分だ。

日体大・矢沢宏大(撮影・西尾典文)
日体大・矢沢宏大(撮影・西尾典文)

 2日目の第2試合では、大トリとしてマウンドに上がり、先頭打者の牧秀悟(中央大・3年・内野手・178cm・83kg・右投右打・松本第一)にはレフト前ヒットを打たれたものの、後続を抑えて2回無失点の好投を見せた。球場表示の最速は143キロと平凡に見えるかもしれないが、会場となった「坊っちゃんスタジアム」はスピードガンの接地してある場所の関係で、明らかに左投手の数字が出づらいことで有名である。

 そして、この数字は今回参加した左投手の中では山野太一(東北福祉大・3年・172cm・77kg・左投左打・高川学園)と並んで最速であり、ネット裏のガンでは146キロをマークしているものもあった。矢沢は高校時代から神奈川県内では評判のサウスポーで、当時から145キロを超えるスピードをマークしていたが、大学に入って明らかに制球力がアップしている。野手との掛け持ちながら、しっかり軸足に体重を乗せてからステップすることができており、下半身の使い方が改善したことが大きな成長と言えるだろう。

 ちなみにこの秋のリーグ戦では野手としてリーグ8位の打率.286、リーグトップタイの2本塁打を放ち、投手としても帝京大戦に先発して5回を被安打1、1失点という見事なピッチングを見せている。大学生でこれだけ高いレベルで投手と野手をこなす選手は滅多におらず、どちらか一つに絞るのが本当にもったいないと感じる選手である。3年後、あの大谷翔平のように“二刀流”としてドラフトで指名される。そんな可能性も決して小さいものではないだろう。

(文・PABB主任研究員・西尾典文)

西尾典文 主任研究員

西尾典文
  • 1979年、愛知県生まれ。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などをテーマに野球専門誌に寄稿を開始。修了後もアマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる

Twitter ID: @ajihiraita