岡林勇希(菰野)【撮影・西尾典文】

中日の判断は“大正解”  D5位・岡林勇希は投手でなく野手で「主力」になれる!

 今年のドラフトで指名された選手について、こんな興味深いニュースが飛び込んできた。

<中日からドラフト5位で指名された岡林勇希投手(17)=菰野高=が10日、三重県四日市市内のホテルで入団交渉に臨み、契約金3000万円、年俸550万円で入団合意した。最速153キロの剛腕だが高校通算21本塁打の打力も兼ね備える。身体能力抜群の期待の星に、米村チーフスカウトは「現場がこれから決めることだが、8割方、バッターでと思う」と外野手として期待していることを明かした>(中日スポーツ11月11日付)

 個人的には、この方針に大賛成である。全12球団のドラフト指名を採点した 「AERA dot.」 に寄稿した記事( 10月18日配信 )では、中日を75点と採点し、『ただ全体的に見ると、もっと思い切って野手を狙っても良かったというのが感想だ。2位の橋本、3位の岡野は力のある投手だが、この順位での獲得は疑問。岡林を外野手として指名したというのであればだいぶ事情は変わってくるが、まずは投手をやってみてとなると、野手に転向しても時間はかかる。そういう点が少しマイナスポイントとなってこの評価となった』と書いた。

 また、PABB labのドラフト総括中日編でも【中日、東邦・石川昂弥を引き当てるも…手薄な外野手を指名せず物足りない】というタイトルで、『5位の岡林は投手での指名だが、打撃と運動能力も魅力の選手。左打席からの柔らかくフォロースルーの大きいスイングは出色で、長打力も申し分ない。150キロ以上のスピードを投げられるため投手として勝負したいとのことだが、チーム事情を考えると野手で育てたい素材だ』とも書いている。

 まず、中日のチーム事情を考えると、若手の野手が圧倒的に少ないことは火を見るよりも明らかである。今年の満年齢で24歳以下の日本人野手は、滝野要(23歳)、石垣雅海(21 歳 )、高松渡(20 歳 )、伊藤康祐(19 歳 )、根尾昂(19 歳 )、石橋康太(19 歳 )の6人。これは阪神と並んで12球団で最も少ない数字である。そして、その阪神は、今年のドラフトでは井上広大(履正社)、遠藤成(東海大相模)、藤田健斗(中京学院大中京)と3人の高校生野手を指名して若返りを図っている。

 中日は、1位で石川昂弥(東邦)を引き当てたとはいえ、それだけでは不十分な印象はどうしても拭うことはできなかった。また、外野手のレギュラーを見ても大島洋平(来年35歳)、平田良介(来年32歳)、福田永将(来年32歳)と全員がベテランといえる年齢に差し掛かっている。さらに、控えも大ベテランの藤井淳志(来年39歳)と中堅の遠藤一星(来年31歳)、井領雅貴(来年31歳)と全く若さのない布陣であり、ここに手をつけないというのはどうしても疑問だった。そこに、岡林が入ってくるとだいぶ景色が変わってくることは間違いないだろう。

西尾典文 主任研究員

西尾典文
  • 1979年、愛知県生まれ。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などをテーマに野球専門誌に寄稿を開始。修了後もアマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる

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