東海大・山崎伊織(撮影・西尾典文)

元ヤクルト「伊藤智仁」を彷彿 東海大・山崎伊織の恐るべき実力

 だが、山崎のスライダーは決して一つではなく、バリエーションがあるというのも大きい。カウントをとる時は大体125キロくらいのスピードで、追い込んでからは130キロ台中盤から後半をマークすることもある。135キロを超えるスライダーというと、カットボールのような小さい変化をイメージするかもしれないが、山崎のボールはそれだけのスピードがありながら、打者の手元で大きく変化するため、空振りを奪うことができる。まさに、この点も伊藤智仁と共通している。

 この秋のリーグ戦は、5試合に登板して4勝0敗、44回を投げて自責点1で防御率0.20という圧巻の成績を残している。ただ、不安要素がないわけではない。気になるのはその体つきの細さだ。春のリーグ戦では体重72kgで登録されていたが、秋の関東大学選手権では69kgとなっている。182cmという上背がありながら、この数字は大学生としてはかなり細い部類に入る。闇雲に体重を増やせば良いというわけではないが、大学選手権では投げる度に疲労からかボールの勢いが落ちているように見えており、体力面の強化は課題と言えるだろう。

 逆に言えば、体作りが進んでいない中でもこれだけのボールを投げられるというのは末恐ろしいことでもある。残り1年、ここから、さらにどのような進化を遂げていくのか、ぜひ注目してもらいたい。

(文・PABB主任研究員・西尾典文)

西尾典文 主任研究員

西尾典文
  • 1979年、愛知県生まれ。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などをテーマに野球専門誌に寄稿を開始。修了後もアマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる

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