智弁和歌山・細川凌平(撮影・西尾典文)

「智弁対決」で光ったドラフト候補の逸材 “世代屈指”の外野手、その実力は…

 10月26日、高校野球秋季近畿大会が行われる佐藤薬品スタジアム(奈良県立橿原公苑野球場)は、早朝から大勢の高校野球ファンで大行列となった。多くのファンのお目当ては第3試合の智弁学園(奈良)対智弁和歌山(和歌山)の“智弁対決”だ。試合は、両チーム合計30安打、30得点の壮絶な乱戦の末、17対13で智弁学園が勝利をおさめ、来春の選抜出場を確実にした。期待通りの熱戦となったが、将来のドラフト候補という意味でも両チームに逸材が多かった。そこで今回は「秋の智弁対決」で目立った選手たちを紹介したい。

智弁和歌山・細川凌平(撮影・西尾典文)

 まず来年のドラフト候補という意味で最も強い輝きを放ったのが、智弁和歌山のトップバッター、細川凌平(2年・中堅手・172cm・70kg・右投左打)だ。この日の成績から先に紹介すると、6打席3打数3安打、2四球、1犠飛、1打点と、全打席で結果を残した。相手の智弁学園の先発はサウスポーの西村王雅(1年・171cm・65kg・左投左打)で、左打者の外角へのボールに特徴のあるタイプだったが、全く苦にすることなく攻略して見せた。小柄な選手が強く打とうとすると大きく反動をつけることが多いが、細川にはそういう無駄な動きがない。それでいながら踏み込みが強く、鋭く振りだすことができるのだ。1本目は低めの変化球をセンター前、2本目は外よりの変化球をレフト前、3本目は少し内に入ったストレートをライト前と見事に3方向に打ち返したが、どのヒットも見どころが満載だった。この日は一つ悪送球があったものの、肩の強さと脚力も申し分ない。小柄だが総合力では全国トップレベルの外野手と言えるだろう。

智弁和歌山・ 小林樹斗 (撮影・西尾典文)

 智弁和歌山でもう一人来年の候補になりそうなのが、エースの小林樹斗(2年・投手・181cm・78kg・右投右打)だ。不調が伝えられており、この日も最後に打者4人に投げただけだったが、それでもストレートの最速は145キロをマークし、十分に素材の良さは見せつけた。投げ終わった後に、少し体が一塁側に流れるのは気になるものの、スムーズに肘が高く上がり、上から鋭く振り下ろす腕の振りは一級品。スライダーも打者の手元で鋭く変化し、空振りを奪えるだけのキレがあった。この冬にしっかりフォームを固めて、来年はさらにスケールアップした姿を見せてもらいたい。

智弁和歌山・徳丸天晴(撮影・西尾典文)

 その他で目立ったのは全て1年生だ。智弁和歌山では春から4番を打つ徳丸天晴(1年・右翼手・184cm・79kg・右投右打)と、同じく春からベンチ入りを果たしている中西聖輝(1年・投手・180cm・78kg・右投右打)を紹介したい。徳丸は、まだまだ体の割れが不十分で変化球に対する脆さはあるが、ゆったりとした大きい構えと悪いクセのないスイングは出色。6回には会心の当たりではなかったものの、1点差に迫るスリーランをレフトスタンドに叩き込んだ。

智弁和歌山・中西聖輝(撮影・西尾典文)

 中西は6回途中から3番手として登板。まだ下半身よりも上半身の力で投げているように見えるが、オーソドックスなフォームでゆったりと投げられるのが長所。最速141キロをマークしたストレートだけでなく、腕を振って投げられるチェンジアップも面白いボールで、投手としてのセンスは高い。フォームに躍動感が出てくれば、まだまだスピードもアップするだろう。

西尾典文 主任研究員

西尾典文
  • 1979年、愛知県生まれ。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などをテーマに野球専門誌に寄稿を開始。修了後もアマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる

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