履正社・井上広大(撮影・西尾典文)

【ドラフト総括】セ・リーグ各球団「会心の指名」は誰だったのか?

 佐々木朗希(大船渡)、奥川恭伸(星稜)、森下暢仁(明治大)の三人の動向に注目が集まった2019年のドラフト会議。佐々木は4球団競合でロッテ、奥川は3球団競合でヤクルト、そして森下は単独指名で広島が交渉権を獲得する結果となった。しかし、ドラフトの成否は目玉選手や1位指名だけで決まるわけではない。そこで今回は2位以下の指名で、各球団の会心と言える指名は誰だったのか、主任研究員の西尾典文の目から探ってみたいと思う。今日はセ・リーグ編だ。

【ヤクルト】

3位;杉山晃基(創価大・投手)

 チーム防御率が12球団でダントツの最下位であることを考えると投手陣の立て直しが急務。1位で奥川、2位で吉田大喜(日本体育大)と高校、大学の先発型右腕二人を指名し、さらに3位で杉山を獲得できたことは非常に大きい。近年、全体的にレベルが上がっている東京新大学リーグでも絶対的な存在。全国の舞台での経験も豊富な右腕で、即戦力度は吉田と大差ない。150キロ前後のストレートだけでなく、変化球のレベルも高く、先発、リリーフどちらの経験があるのも心強い限りだ。1年目から一軍の戦力として十分に期待できる存在である。

【中日】

4位:郡司裕也(慶応大・捕手)

 1位では将来の中軸候補である石川昂弥(東邦)を獲得したが、他のポジションも野手の底上げは必要不可欠。若手の有望株が高校卒ルーキーの石橋康太だけである捕手もポイントの一つだったが、この順位で大学球界でも屈指の実力者である郡司を指名できたことは大きかった。攻守とも安定感があり、森下からリーグ戦で2本塁打を放っているように、ツボにはまれば一発を打つ長打力がある。そして、仙台育成時代には神宮大会優勝と夏の甲子園準優勝、大学でも2度のリーグ優勝を経験するなど、“勝てるチーム”の正捕手だったという点も大きな魅力である。石橋とレギュラーを争うようになれば、捕手事情は一気に明るくなるだろう。

霞ヶ浦・鈴木寛人(撮影・西尾典文)
霞ヶ浦・鈴木寛人(撮影・西尾典文)

【広島】

3位;鈴木寛人(霞ケ浦・投手)

 1位で即戦力ナンバーワンの森下を獲得。さらに、年齢構成を考えると、高校生の素材型も欲しいところだったが、そこに3位で鈴木を獲得して狙い通りの投手補強となった。夏の甲子園では初戦で履正社に敗れたものの、広島の苑田聡彦スカウト統括部長が「外れ1位もある」と話していたほどで、素材の良さは申し分ない。長身で悪いクセがなく、角度のある140キロ台後半のストレートはまだまだ速くなりそうな雰囲気がある。前田健太(広島→ドジャース)以来、高校卒のエースは途絶えているだけに、その候補として期待したい右腕だ。

西尾典文 主任研究員

西尾典文
  • 1979年、愛知県生まれ。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などをテーマに野球専門誌に寄稿を開始。修了後もアマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる

Twitter ID: @ajihiraita