九州学院・川野涼多(撮影・西尾典文)

松井稼頭央を目指せ! 九州学院・川野涼多の“秘めた能力”

 今年は佐々木朗希(大船渡)、奥川恭伸(星稜)、森下暢仁(明治大)の3人が目玉と言われているドラフト会議。しかしそれ以外にも将来が楽しみな候補は多く存在しているため、そんな選手たちについても主任研究員である西尾典文が見た試合のプレーぶりを交えながら紹介していきたい。今回は三拍子揃った両打ちのショートストップだ。

川野涼多(九州学院)

遊撃手 177cm 74kg 右投両打

観戦日:2019年3月30日(春季熊本県大会 対熊本工戦)

成績:5打席2打数1安打3四球

 この日の最大のお目当てだったのが、第一試合に登場した浅田将太(有明)。浅田は熊本北を相手に19奪三振、1安打完封という見事なピッチングを見せてくれたが、お目当て以外にも素晴らしい選手を見ることができた時が最も嬉しい瞬間である。

 それが、ここで紹介する川野だ。下級生の頃からレギュラーで活躍しており、名前は聞いたことはあったが、試合を見るのはこの日が初めて。まず目立ったのはシートノックでの動きの良さだ。九州学院は熊本県内でも屈指の強豪校で野手全体のレベルは高かったが、その中でも川野の動きは一人だけスピード感が違う。特にノッカーが打ってからの一歩目の出足が鋭さは高校生では、なかなかいないレベルである。

 もう一つの良い点がボールに入る動きに柔らかさがあるところ。スピードがあってもボールと衝突するように入ると、グラブではじくなど右手への持ち替えに手間取る原因となるが、川野はそういうところがない。時折、スローイングが雑になるのは気になったが、シートノックを見ただけで注目に値する選手だ、というのは十分にわかった。

 そして、もう一つの大きな特長が両打ちのバッティングだ。この日は最初の3打席を右打席、最後の2打席は左打席に立ち、どちらでもゆったりと大きく構えてタイミングをとれていた。相手のマークが厳しいこともあって、シングルヒット1本、3四球という結果に終わったが、良さは十分に伝わってきた。2点を追う展開でも無理に打ちにいかずにしっかりボールを選べるとことも評価できるポイントだ。

九州学院・川野涼多(撮影・西尾典文)

 スイッチヒッターのショートというと古くは高橋慶彦(元広島など)、最近では松井稼頭央(元西武など)がいるが、最近ではスイッチヒッター自体が珍しくなっている。そういう意味でも、川野には、彼らのように三拍子揃ったスイッチヒッターをプロでもぜひ目指してもらいたい。そうなれるだけのポテンシャルを秘めた選手である。

(文・PABB主任研究員・西尾典文)

西尾典文 主任研究員

西尾典文
  • 1979年、愛知県生まれ。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などをテーマに野球専門誌に寄稿を開始。修了後もアマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる

Twitter ID: @ajihiraita