健大高崎時代の山下航汰(巨人)【撮影・西尾典文】

根尾以上に活躍…巨人・山下航汰はなぜ「育成指名」だったのか?

 昨年のドラフト会議、注目を集めたのは高校生の野手だった。根尾昂(大阪桐蔭→中日)と小園海斗(報徳学園→広島)に4球団、藤原恭大(大阪桐蔭→ロッテ)には3球団の1位指名が集中し、外れ1位でも太田椋(天理→オリックス)、2位でも小幡竜平(延岡学園→阪神)と増田陸(明秀日立→巨人)の二人が指名されている。この中では藤原が開幕スタメン出場を果たし、小園はシーズン終盤には一軍に定着を果たしている。

 しかし、彼ら以上に強いインパクトを残した高校卒ルーキー野手が山下航汰(健大高崎→巨人)だ。育成ドラフト1位での入団ながら開幕直後から二軍の主力に定着し、7月5日は支配下登録。その後もイースタンでは結果を残し続け、打率.332で見事に首位打者に輝いたのだ。高校卒のルーキーが二軍の首位打者を獲得するのは高木守道(元中日)、イチロー(元オリックス)に次いで3人目の快挙である。

健大高崎時代の山下航汰(巨人)【撮影・西尾典文】

 ちなみに高校時代、山下は決して無名だったわけではない。1年夏から強豪の健大高崎の4番を任せられると、2年春に出場したセンバツでは2本の満塁ホームランを放ち、大きな話題となった。また2年夏の群馬大会でも6試合で5本塁打と打ちまくり、高校通算本塁打は75本を数えている。では、なぜ1年目からこれだけの成績を残した山下の順位が育成枠でのものだったのだろうか。

 一つ目は守備と足に目立った特徴がなかったという点である。3年時には外野を守っていたものの、それまではファーストを守ることが多く、特にスローイングに関しては藤原などと比べると明らかにボールの勢いがなかった。足に関しては、主任研究員の西尾が計測したタイムで一塁到達4.30秒、二塁到達8.35秒、三塁到達11.62秒というのが最速である。三塁到達はまずまずのタイムだが、一塁と二塁は左打者にしては並といえる。ちなみに根尾、小園、藤原のそれぞれの計測できた最速タイムは以下である。

西尾典文 主任研究員

西尾典文
  • 1979年、愛知県生まれ。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などをテーマに野球専門誌に寄稿を開始。修了後もアマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる

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