怪物佐々木は何球団に指名されるのか?

 今年のドラフト会議、高い注目を集めているのが佐々木朗希(大船渡)、奥川恭伸(星稜)、森下暢仁(明治大)の三投手だ。過去2年と比べて野手に注目選手が少ないこともあり、この三投手に1位指名が集中する可能性が高い。そこで今回はこれまでの報道、視察状況などから現時点での12球団の1位指名を予想してみた。

【佐々木指名有力球団】 日本ハム、ソフトバンク、楽天、ロッテ、巨人、広島

 日本ハムは6月2日に吉村浩GM(ゼネラルマネージャー)が佐々木の1位指名を公言。8月に行ったスカウト会議でもその方針はぶれないことを確認しており、まず変わることはないだろう。ソフトバンクも日本ハムと同様にその年の目玉を狙う「ナンバーワン戦略」を掲げており、それを考えると佐々木の1位の可能性は高い。楽天は8月26日に行われた高校日本代表と大学日本代表の試合を立花陽三球団社長、石井一久GMが揃って視察。試合後に石井GMは「東北出身の子は東北で投げてほしい。そんなことを言って(指名しないと)僕が怒られるんですよね」とも語っており、地元東北出身の次代のエース候補をみすみす見逃すというのは逆に勇気がいることだろう。かつては目玉から逃げる印象の強かったロッテだが、過去4年間の指名を見ると抽選を恐れずに大物選手に狙っていることがよく分かる。野手は若手が育っており、チームの骨格はできてきただけに、次は投手陣の大きな柱として目玉の佐々木を狙う可能性は高そうだ。

 少し意見が分かれそうなのが巨人と広島だ。巨人は甲子園での活躍で奥川を推す声も強くなったという噂もある。しかし、今年から現場に復帰した長谷川国利スカウト部長が3月に佐々木を視察した時に「衝撃を受けた」と語るほど高く評価していることを考えると、佐々木の可能性が高いと考えた。また広島も伝統的に鍛えて伸ばすという方針だけに、体力面の不安から佐々木を回避する声も多い。しかし8月のスカウト会議後に松田元オーナーが「わしは佐々木派」とコメントしており、オーナーの意向が指名に強く反映されることを考えて佐々木と予想した。

星稜・奥川恭伸(写真・西尾典文)

【奥川指名有力球団】中日、西武

 中日は地元重視路線ということもあり、北陸中日新聞の販売エリアである石川出身の奥川指名が有力視されている。佐々木を推す声も根強くあるようだが、チーム事情を考えると、早く使える奥川という意見に賛同する首脳陣も多そうだ。西武もチーム事情を考えると将来性より即戦力を重視したい。過去に指名した高校卒の1位選手がもう一つ伸び悩んでいるが、奥川の完成度は高校生レベルでは群を抜いている。昨年は松本航を一本釣りしており、抽選のリスクが低い方を狙いたいという意向も強そうだ。

【森下指名有力球団】 DeNA、オリックス、阪神、ヤクルト

 これまでの報道を見ていると、佐々木に一番執着が感じられないのがDeNAだ。夏の岩手大会でも積極的にスカウトを派遣しておらず、吉田孝司スカウト部長も8月の高校日本代表合宿の練習試合で「(佐々木を)久しぶりに見た」と話している。チーム事情を考えても右の先発が不足しており、明治大出身である高田繁前GMの意向も強いだけに、森下が最有力候補となりそうだ。オリックスと阪神は大学生、社会人路線がお家芸。上位指名した素材型の高校生が上手く主力になった例が少なく、確実性を優先する可能性が高い。ヤクルトは橿渕聡スカウトグループデスクが佐々木を高く評価するコメントを出しているが、今季の戦いを見ても即戦力投手は必要不可欠。伝統的に東京六大学のスターを優先して指名する方針もあり、森下が一番手になりそうだ。

 ドラフト会議まであと2カ月を切り、ここからあらゆる情報が飛び交う時期である。果たして各球団の編成トップはどんな決断を下すのか。今からドラフト当日が楽しみでならない。

(文・取材/PABB主任研究員・西尾典文)

※本記事は PABB主任研究員・西尾典文 が一般メディアに寄稿した記事を再編集したものです。

PABB編集部